音楽が好きだけれど、楽器を習う環境になかった……そういう方は結構多いのではないでしょうか。かくいう私がそうで、そのうえで高専に進学したこともあって比較的早期にPCを持つに至ったため、DTMに興味を持ったのでした。
DTMの歴史などはDTMステーション等でお馴染みの藤本健さんの電子書籍などで知っていただくと面白いかと思いますが、私は90年代の箱音源を引きずる人間だったもので、DTMといえば SMFづくりのイメージで、録音とはシーケンサーで再生したデータをSC-88Proなどで鳴らして録るイメージでした……。
つまり、そこに音声合成機械としてのシンセサイザーの存在を見ていなかったのです!
大学に進んで趣味を持つことにあこがれ、ついに手に入れたCubase(当時はYAMAHAがSteinbergを買収して新製品のバージョン4を発売した頃でした)でシンセ音源に触れ、愕然とするのです……ナニコレ意味分からん、と。。
もとよりDTMでやりたかったことがオーケストラ曲の作曲であり、そういった類いの楽曲しか聴いていなかったため、シンセサイザーという楽器のイメージすら持っていませんでした。。
いまはDTMが広く受け容れられ、またKORG社その他の努力もあって廉価なアナログシンセが出回っています。いまこそ作曲のお供として、音Toyとして(いま思いついた)、シンセが本格的に楽しめる時期ではないかと!
そういう意味で、シンセ音楽や楽器としてのシンセに慣れ親しんだ方ではなく、シンセ全然分からんけどなんか気になる……って方のSyn生活に向けて記事を書きたいと思います。
シンセ初心者のシンセQ&A
そもそもシンセ界が特殊な世界に感じる方もいらっしゃると思いますが……。
Q : シンセサイザーとはなんですか?
A : 音を合成する機械です。
DTMをはじめてなぜか音源にハードシンセを買ったのですが(旧時代脳)、届いたYAMAHAのシンセの箱にこう書かれていました「Music Synthesizer」……直訳すると「音楽合成機」? 当時はまだAIの時代ではありませんでしたし、音楽を自動では作ってくれませんでしたが、音を合成することで楽曲用のサウンドを生み出してくれるものでした。
当時訪れていたDTMサイトで私が聴いていたのはクラシック音楽の再現やオリジナルのオーケストラ曲だったため、そのシンセもPCM音源と呼ばれるもので……つまるところ、楽器の音を録音してシンセに搭載し、鍵盤を押したりMIDIノートが送られてくることでその録音した音を再生するものでした。
でも、そういうサンプリング技術が出て来たのはシンセが発明された時代よりずっとあとのこと。最初は単純な波形を生み出す1000万円超のタンスのような機械だったそうです。日本最初のシンセユーザー、故・冨田勲さんはオーケストラ曲も書いていらっしゃったのに、私はシンセ曲を全然存じ上げませんでした。最初はシンセもアカデミックなものだったのですね……。冨田勲さんの『月の光』や『惑星』のシンセバージョンは有名ですが、初期のシンセはクラシック音楽のアレンジが多かったようです。
その頃のシンセは電気信号で倍音の多い音を作り出し、それをフィルターで削って目的の音を作るという”減算方式”のものでした。これから私が使っていくものも基本的にこれですし、シンセ使いの多くの人が基本としているのもこのタイプです。息の長いものだなあと思いますが、古い新しいではなく、それだけ魅力的で独得なサウンドが作れるものなのかも知れませんね。
Q : どんな音でも作れると聞きました!
A : 宣伝文句です……。
もちろん、アナログの楽器なら無段階ですので無制限の音色数なのかも知れませんが、実際の楽器の真似をしようとしてもなかなかうまく行かなかったようです。それで録音した楽器を鳴らそうというアイデアが出てくるのですね〜。まあ、どれだけイメージ通りの音が出せるかは、技術にもよるのでしょうが……。。
Q : 価格は……。
A : ピンキリ!
とはいえ、全体的な価格は下落傾向です。KORGの名前を挙げましたが、KORGの一番安いガジェット、monotronシリーズなら3000円ちょっとからですし、その上の一気にサウンドクオリティが上がるVolcaシリーズにでも15000円そこそこ、楽器らしい見た目のものになると30000円くらいからでしょうか。最近はドイツBehringer社も安価なオリジナルシンセやあこがれのシンセのコピー品を販売し、シンセ界では有名になりました。一方、最高峰の数量限定楽器でも200万円で販売するくらいですので、車を買える人が同じような価値をシンセに感じるなら買えますし、普通に販売されているものは100万円するようなものはほとんどありません。
Q : アナログとデジタルの違いって?
A : 基本的には電気を電子回路に通して音を作るのがアナログ、コンピューターが入っているのがデジタルですが……。
そう言われてもピンとこないかも知れません。デジタル楽器はLinuxなんかが載っているものもありますし、本当にコンピューターです。もちろん、楽器としてのカスタマイズがなされているわけで、普通のPCよりは安定しているためにLive会場などではデジタルシンセも好まれて使われるようですが、PCが代わりに使えないかと言えば、充分使えます。いまのDTM状況をお調べの方なら既にご存じかも知れませんが、PC上で動くシンセサイザー――シンセサイザー音源からピアノ音源、オーケストラや民族楽器、ベースやドラムまでも――は既に充分実用段階で一般販売されています。価格も機械ごと売るわけではない上、使用者が増えているので凄く安くなっています。そういうものもデジタルなわけで、いろいろできるのはデジタル楽器となります。
ではアナログ楽器の優位はというと……DTMにも繋がっていくわけですが、純粋に歪みのないクリアな音を人間がいい音と感じるかというと、そういうわけではないようで、いまでもデジタルで製作されたものほど電子回路を持つアナログ機械に通して歪みを付加されます。実際に筐体を持つ機械はいい音のものほど高価になり場所もとるので、PCソフトとして使用する電子回路のシミュレーターまでも存在するどころか結構売れています。DTMerさんの話題のぞき見すると、底なし沼の分野なようです。。ただ、コンピューターソフトでは充分な成果はまだ得られないようで、人間の聴覚に心地よい音といえばまだアナログ楽器に分があり、その魅力に抗えないひとが手に取るもののようです。こういった書き方をするのは、どうしてもデジタルの方が多くの機能を簡単に実装できる分、安価でスペック的には高性能な楽器が多いため、どうしてもアナログでないと! と思わなければデジタル楽器を選んだ方がいいためです。
Q : 倍音の多い音をフィルターで削るって……どうやって音作るの?
A : やってみましょう!
ついつい頭で考えちゃうものですが、最初からベートーベンにはなれませんから、作曲に音感が必要なようにまずは音の変化を触って感じてみましょう!
PCがあれば世の中、無料のデータは増えていまして(ありがたい!)、無料のシンセサイザーも豊富です。スマホ・タブレットでこのページをご覧になっているならiOSであればいろいろありますよ(Androidにもありますが、上手く使えたことないです……)。DLしてやってみましょう! というわけで、これからちょくちょくそういう記事を書いていければ、と思います。