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はじめてのシンセサイザー(その1)

2022年4月11日 by Nakaoh Morohoshi コメントを書く

音楽が好きだけれど、楽器を習う環境になかった……そういう方は結構多いのではないでしょうか。かくいう私がそうで、そのうえで高専に進学したこともあって比較的早期にPCを持つに至ったため、DTMに興味を持ったのでした。

DTMの歴史などはDTMステーション等でお馴染みの藤本健さんの電子書籍などで知っていただくと面白いかと思いますが、私は90年代の箱音源を引きずる人間だったもので、DTMといえば SMFづくりのイメージで、録音とはシーケンサーで再生したデータをSC-88Proなどで鳴らして録るイメージでした……。

つまり、そこに音声合成機械としてのシンセサイザーの存在を見ていなかったのです!

大学に進んで趣味を持つことにあこがれ、ついに手に入れたCubase(当時はYAMAHAがSteinbergを買収して新製品のバージョン4を発売した頃でした)でシンセ音源に触れ、愕然とするのです……ナニコレ意味分からん、と。。

もとよりDTMでやりたかったことがオーケストラ曲の作曲であり、そういった類いの楽曲しか聴いていなかったため、シンセサイザーという楽器のイメージすら持っていませんでした。。

いまはDTMが広く受け容れられ、またKORG社その他の努力もあって廉価なアナログシンセが出回っています。いまこそ作曲のお供として、音Toyとして(いま思いついた)、シンセが本格的に楽しめる時期ではないかと!

そういう意味で、シンセ音楽や楽器としてのシンセに慣れ親しんだ方ではなく、シンセ全然分からんけどなんか気になる……って方のSyn生活に向けて記事を書きたいと思います。

シンセ初心者のシンセQ&A

そもそもシンセ界が特殊な世界に感じる方もいらっしゃると思いますが……。

Q : シンセサイザーとはなんですか?
A : 音を合成する機械です。

DTMをはじめてなぜか音源にハードシンセを買ったのですが(旧時代脳)、届いたYAMAHAのシンセの箱にこう書かれていました「Music Synthesizer」……直訳すると「音楽合成機」? 当時はまだAIの時代ではありませんでしたし、音楽を自動では作ってくれませんでしたが、音を合成することで楽曲用のサウンドを生み出してくれるものでした。

当時訪れていたDTMサイトで私が聴いていたのはクラシック音楽の再現やオリジナルのオーケストラ曲だったため、そのシンセもPCM音源と呼ばれるもので……つまるところ、楽器の音を録音してシンセに搭載し、鍵盤を押したりMIDIノートが送られてくることでその録音した音を再生するものでした。

でも、そういうサンプリング技術が出て来たのはシンセが発明された時代よりずっとあとのこと。最初は単純な波形を生み出す1000万円超のタンスのような機械だったそうです。日本最初のシンセユーザー、故・冨田勲さんはオーケストラ曲も書いていらっしゃったのに、私はシンセ曲を全然存じ上げませんでした。最初はシンセもアカデミックなものだったのですね……。冨田勲さんの『月の光』や『惑星』のシンセバージョンは有名ですが、初期のシンセはクラシック音楽のアレンジが多かったようです。

その頃のシンセは電気信号で倍音の多い音を作り出し、それをフィルターで削って目的の音を作るという”減算方式”のものでした。これから私が使っていくものも基本的にこれですし、シンセ使いの多くの人が基本としているのもこのタイプです。息の長いものだなあと思いますが、古い新しいではなく、それだけ魅力的で独得なサウンドが作れるものなのかも知れませんね。

ビルボードに載ったことで伝説のように語られる冨田さん。
こちらも伝説のYMO。ボコーダーでつい言っちゃうTOKIO。もちろんシンセがたくさんです。

Q : どんな音でも作れると聞きました!
A : 宣伝文句です……。

もちろん、アナログの楽器なら無段階ですので無制限の音色数なのかも知れませんが、実際の楽器の真似をしようとしてもなかなかうまく行かなかったようです。それで録音した楽器を鳴らそうというアイデアが出てくるのですね〜。まあ、どれだけイメージ通りの音が出せるかは、技術にもよるのでしょうが……。。

Q : 価格は……。
A : ピンキリ!

とはいえ、全体的な価格は下落傾向です。KORGの名前を挙げましたが、KORGの一番安いガジェット、monotronシリーズなら3000円ちょっとからですし、その上の一気にサウンドクオリティが上がるVolcaシリーズにでも15000円そこそこ、楽器らしい見た目のものになると30000円くらいからでしょうか。最近はドイツBehringer社も安価なオリジナルシンセやあこがれのシンセのコピー品を販売し、シンセ界では有名になりました。一方、最高峰の数量限定楽器でも200万円で販売するくらいですので、車を買える人が同じような価値をシンセに感じるなら買えますし、普通に販売されているものは100万円するようなものはほとんどありません。

Q : アナログとデジタルの違いって?
A : 基本的には電気を電子回路に通して音を作るのがアナログ、コンピューターが入っているのがデジタルですが……。

そう言われてもピンとこないかも知れません。デジタル楽器はLinuxなんかが載っているものもありますし、本当にコンピューターです。もちろん、楽器としてのカスタマイズがなされているわけで、普通のPCよりは安定しているためにLive会場などではデジタルシンセも好まれて使われるようですが、PCが代わりに使えないかと言えば、充分使えます。いまのDTM状況をお調べの方なら既にご存じかも知れませんが、PC上で動くシンセサイザー――シンセサイザー音源からピアノ音源、オーケストラや民族楽器、ベースやドラムまでも――は既に充分実用段階で一般販売されています。価格も機械ごと売るわけではない上、使用者が増えているので凄く安くなっています。そういうものもデジタルなわけで、いろいろできるのはデジタル楽器となります。

ではアナログ楽器の優位はというと……DTMにも繋がっていくわけですが、純粋に歪みのないクリアな音を人間がいい音と感じるかというと、そういうわけではないようで、いまでもデジタルで製作されたものほど電子回路を持つアナログ機械に通して歪みを付加されます。実際に筐体を持つ機械はいい音のものほど高価になり場所もとるので、PCソフトとして使用する電子回路のシミュレーターまでも存在するどころか結構売れています。DTMerさんの話題のぞき見すると、底なし沼の分野なようです。。ただ、コンピューターソフトでは充分な成果はまだ得られないようで、人間の聴覚に心地よい音といえばまだアナログ楽器に分があり、その魅力に抗えないひとが手に取るもののようです。こういった書き方をするのは、どうしてもデジタルの方が多くの機能を簡単に実装できる分、安価でスペック的には高性能な楽器が多いため、どうしてもアナログでないと! と思わなければデジタル楽器を選んだ方がいいためです。

Q : 倍音の多い音をフィルターで削るって……どうやって音作るの?
A : やってみましょう!

ついつい頭で考えちゃうものですが、最初からベートーベンにはなれませんから、作曲に音感が必要なようにまずは音の変化を触って感じてみましょう!

PCがあれば世の中、無料のデータは増えていまして(ありがたい!)、無料のシンセサイザーも豊富です。スマホ・タブレットでこのページをご覧になっているならiOSであればいろいろありますよ(Androidにもありますが、上手く使えたことないです……)。DLしてやってみましょう! というわけで、これからちょくちょくそういう記事を書いていければ、と思います。

Komplete Kontrol M32について(レビュー)

2019年3月8日 by Nakaoh Morohoshi コメントを書く

Komplete Kontrol M32が届き、昨日より触っていました。Komplete Kontrol自体は評判もよく、NKSが便利との声が聞かれますが、AシリーズよりNative Instruments社の自社開発キーボードを搭載しているため、どうなんだろうと気になっていました。

AシリーズとMシリーズの操作系統はほぼ同様で、表示画面も同じような感じです。まず、この点に触れたいと思います。

ハードウェア側の画面は見づらい

いまだにA61を買うか、無理をおしてS61にするか悩んでおりますが、とりあえずの間に合わせとベッドサイド用にM32を購入しました。Aシリーズとの違いはキーボードがフルサイズかミニサイズか、ピッチベンドとモジュレーションがホイールかタッチスライダーかというところが大きく、またMシリーズの操作子はAシリーズに比べ若干小さめになっているようです。

ボタンやノブは小さいからといって特に苦になることはありません。クリック感もよく、ノブの精度も良いです。タッチスライダーは確かにホイールに劣る部分が多いですが、ピッチやモジュレーションCCの値の中間値をすっ飛ばして入力できるメリットもあります。サイズ的には仕方がない部分と私は割り切れました。そんなに使わない身でもありますし。

ハードでいちばん困るのは画面です。25ミリ×7ミリ程度の表示部に2行の文字が表示されます。私はさほど目が悪くないことと、くっきりした表示ではあるため読むには困りませんが、演奏中に体が動いているとちょっと視認に時間がかかるかも知れません。それよりも幅が狭いためにタッチセンスのノブを触ってパラメーター名が表示されても短縮されてしまっていて、よく使われる短縮表示以外は何が書かれているのか想像力を必要とするのが問題です。

幸いMaschineにしろKomplete Kontrolにしろ、スタンドアローンの製品ではありませんので、PCの画面が見える位置にあれば視認は困難ではありません。Komplete Kontrol Sシリーズの画面に表示されるようなことはKomplete Kontrolソフトウェア上にも表示されますから、A/MシリーズではPCの画面を見ながら操作するのがスタンダードなのでしょう。

ただ、表示小さめの4Kモニター、13インチクラスラップトップの画面だと、ちょっと慣れるまではパラメータを読むのにモニターに顔を近づけたくなります。これはもちろんOS側の拡大スケール表示で解決できるでしょうが普段使いの利便性のためにも、Komplete Kontrolソフトウェア側にスケールの拡大縮小機能があればいいなあと思います。

決定的な差になるかどうかは、Sシリーズが画面とノブが近いために視点移動少なく操作できる点をどう評価するかでしょうか。

固めのしっかりした鍵盤

キーボード部分はミニ鍵盤なりとは注釈しますが結構弾きやすいです。ピアノ経験者のような方が同じように弾けるとは思いませんが、旋律を片手でぽろぽろ弾くくらいなら申し分ありません。YAMAHAのRefaceのミニ鍵盤の方が弾きやすいとは思いますし、もう少しサイズが大きくなっても良いのならKORGのminilogueやARP Odysseyのスリム鍵盤の方がいいタッチだと思います。しかしこのクラスの製品にしては大変精度の良い製品でがっちりもしており、鍵盤も堅牢性の高さを感じさせる作りです。

世に出回るおおよその鍵盤より力はいると思います。もちろん、楽器の鍵盤における想像の範疇程度のものだと思いますが。長らくIK MultimediaのiRig KEYSを使っておりますが、体感では1.5倍ほどの重量を鍵盤にかける感があり、iRig KEYSより押し込みはじめから底を打つまで一定の力で押せる気がします。また、M32の方が鍵盤の押し込み幅が深いようにも感じます。

そしてiRig KEYSは37鍵盤ですが、32鍵ずつで見てみると、Komplete Kontrol M32の方が鍵盤の幅で3センチ弱広い(iRig KEYS : 37センチ、M32 : 39.7センチ)です。目視すると鍵盤ひとつ分でかなり幅の違いを感じ、これは鍵盤の固さと相まって弾きやすさ、ことミスタッチの減少には結構寄与しているように思います。もちろん幅が広いわけですから省スペース性には足かせとなるわけですが、iRig KEYS : 50.2センチ、M32 : 47.5センチと、鍵盤を減らした分、長辺の長さ的には充分モバイル用途に使えます。なお、白鍵の長さはM32のミニ鍵盤の方が約1センチ長く、操作子もあるため奥行きは結構違います。

ミニキーボードが欲しいなら、買い

総合的に良くできた製品だと思いますが、最後に付記したいのはNKSの便利さです。私のようなものぐさにはピッタリのマッピング済みで、メーカー側がコントロールしやすいように8個のノブにページごとアサインしてくれています。手元にあるKomplete Kontrol M32では両手弾きは無理ですが、ことシンセの音色を変えながら単音を弾くにはこのコンパクトさで最高の楽しみを教えてくれます。

また、私はかなり変質者的なシンセ遍歴をしてしまいましたが、いままで聞いていないプリセットを聞く&すぐノブで音を変化させられることで、使っていなかったシンセを引っ張り出していくつもの発見というか出会いがありました。もっと早くKomplete Kontrolシリーズを手にしていたら、こんなにシンセサイザー音源を買わなかっただろうなあと思います(DTMerとしては正しいかもですがw)。

散々書かれている通り、ハイ・コストパフォーマンスな付属ソフトもこのハードウェアあってこそ、最高に楽しめると思いますので、Kompleteの無償版なんて使ってこなかったという方にもぜひオススメしたいです。きっと出会いがあり、DTMの初心者さんに至ってはしばらくKomplete Kontrol M32とその付属ソフトだけで満足しちゃえるポテンシャルがあると思います。

マーケターでもないですし、特段商売に関わっていきたくもないのですが、いち個人DTMerとしてミニ鍵盤が欲しい方と、DTMをはじめたいけれど無償ではなくちょっと投資しようかな、という初心者さんのファースト・チョイスに推したいと思います。

(後日、写真をアップします)

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Nakaoh Morohoshi

Nakaoh Morohoshi

1986年、静岡市生まれの日曜作家・作曲家。主に文芸に関してとDTMについてつぶやいてます。

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